第13話「遠い思い出の恋人たち」

チーコは岸本と釣りに海へきていたが元気がなかった。パパが四国へ転勤することになってしまったのだ。もうすぐ卒業・・・東京に残ってもいいと言ってくれるやさしい両親だったが、それだけにいっしょに四国へ行く決心をするチーコ。もちろんサリーのことを忘れるためでもあった。一週間もない学園祭で転校してしまうと、村上はトンコからきいて動揺するがどうすることもできない。しかも村上はチーコがした「約束」のことなど知るはずもなく・・・。

山下とトンコは、チーコと村上が出会った木の下で、あることを思いつく。二人をなんとかこの桜の木の下に呼び出そうと計画。トンコはチーコに村上からの呼び出しだと伝える。しかしチーコには「サリーとは会わない」という演劇部の人との約束があった。

村上の家には警察がきた後だった。ミドリに捜索願いが出ているらしい。さっそくルミに連絡をとるが、すでにミドリは山下の下宿に向かっていた。するとその山下の家には警察がきてしまい、ミドリが見つかってしまう。しかも何も知らなかった山下までも誘拐容疑でつかまってしまった。

トンコはその頃、演技部のミドリの仲間たちのところに怒鳴り込んでいた。
「チーコがどんな気持ちで・・・！」
トンコは人のいいチーコにつけこんで、チーコにとってつらい約束をさせた彼女たちが許せなかった。
そしてそこで、彼女たちの話かミドリの嘘を知ってしまったトンコ。

一方警察に駆け込んだミドリの母によって家庭の事情という嘘は村上にもばれてしまった。とんだ騒ぎに巻き込まれてしまった村上と山下だったが・・・・

チーコは約束の時間に木の下で待っていたが村上は現れない。
「さよなら、サリー・・・」
チーコは現れなかったサリーに別れを告げる・・・。
しかし、この騒ぎで山下は村上に例の呼び出し計画を伝え忘れていたのだ。二人は慌てて約束の場所に行ってみるが、もうチーコはいなかった。山下は、村上にチーコの家に行くように説得するが、しかし村上ももうチーコを追いかけることはしなかった。

村上は転校するチーコにさよならの手紙を書いた。しかし気持ちは晴れない。チーコを失う淋しさを感じていたのだ。しかしその手紙はチーコに渡ることなく、すぐに破り捨てられた・・・。

そして、いよいよ学園祭も最後のファイヤーストームを迎えていた。男子はみんな原住民の衣装を着て仮面をかぶっていたのでミドリにもルミにも、妹でさえ村上を見つけることはできない。しかしチーコだけは一人だけを見つめていた。

あせって村上を探し回るミドリはチーコがいなくなるこれからがチャンスと、山下が連れてきた仮面の男に告白するが、その男は村上ではなく岸本だった。岸本に「君には村上を好きになる資格はない。君には村上がわからない」と言われてしまう。そう、チーコにはわかる。大勢の仮面の男の中から、最初から村上だけを見つめていたのだ。

仮面を脱いだ村上とチーコはお互いを見つめ合っていた。離れていても目と目で気持ちを確かめあう二人。
「チッチ、君が好きだ、好きだ！」
「サリー、ありがとう。あなたのことは一生忘れないわ。」

ファイヤーストームはエンディングを迎え、皆がタイマツを投げ、蛍の光を唄う。ファイヤーストームの炎が燃え上がる中、いつまでも二人は見つめ合ったまま・・・・。

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サリー
あなたはいつか
思い出してくれるでしょうか
はじめて言葉をかわした
あの雨の夕暮れを
はじめてホッペにキスしてくれた
あの夏の日の道を
はじめて喧嘩した
あの落ち葉の季節を
そして今
はじめて私を好きだと言ってくれた
ファイヤーストームの夜を

私は忘れない
めくりめく夜の中で見た
一番美しい夢のように

さようなら
私のサリー

さようなら
ぼくのチッチ

さようなら
遠い想い出の恋人たち
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トンコの作戦で「8時に村上さんが思い出の桜の木の下で待ってる」とトンコから聞いていったんは喜ぶチーコだったが、「サリーとは絶対会わない」という演劇部との約束がチーコにあったことをトンコは知る。

チーコは約束の思い出の場所で村上を待ったが、村上が来ることはなかった。
「さよなら、サリー・・・。」
サリーに別れを告げるチーコ。
トンコの言うとおり、これが最後のチャンスだったのかもしれない。

この最終回を何度見たことか。見るたびに胸の奥がしめつけられるようで、いい年したおっさんでも涙あふれる作品でした。青春の美しい思い出の１ページを綴ったドラマとして片付けるのは簡単ですが、そんなことで終わらせたくない、深く心に残る物語でした。「ちい恋」は、年を重ねていくほど、心に残るドラマなのではないでしょうか。こうしてストーリーを書き上げているだけで、自分の書いたものを読み返すだけで、そしてビデオを見返すたびに熱い気持ちがこみ上げてきてしまいます・・・。

「サリー、ありがとう。あなたのことは一生忘れないわ。」
チッチのこの最後の言葉が、私の心に深く突き刺さったようで離れません。きっと私も一生この言葉を忘れないかもしれないくらいに。

あれほど幸せだった二人がふとしたことからすれ違い・・・ちぐはぐになってしまう。　ああ、初恋とはこういうものなの・・って。(^^；

なぜ二人は別れなければいけなかったのか。　東京に残ってもいいといった両親でしたが、チーコは四国行きを選びました。それにはミドリのことで約束もあったでしょう。しかしミドリのウソもばれてしまったのだから、もう障害はなかったはず。しかしチーコは転校することを変えませんでした。もうお互いに好きでも、できてしまった隙間は修復不可能と感じ取ったのでしょうか。

約束の木の下で再び会えば、もう一度仲直りできたかもしれない。遅れてしまった村上がチーコの家へ謝りに行って「行かないでくれ」と言えば良かったのかもしれない・・。どうにも考え出すと納得できない(^^；

ただ、「チッチとサリー」の童話と違うのは、サリーは童話の中では天使から人間になったチッチに気づかなかったのですが、村上はチッチのことだけを見ていたし、チーコもどんな姿であっても村上のことがわかったのです。二人は、お互いがお互いを好きであることを確かめあい、そして次のステップへと進んでいったのかもしれません。

最初に見たときは、二人の「別れ」が、なんだかひっかかったままだったのですが、しばらく間をおいて見返してみると、なんとなくですが少し理解できたような気がします。あと半年、高校卒業したら東京へ戻ってくればいいんだ！などと、以前はそう考えて自分を納得させたりもしましたが(^^；　そうじゃない、そんなことなんじゃあないんだと・・。　前回の「次回予告」で「今二人の目と目に流れる確かな愛が炎となって星空に燃え上がります。」とありましたが、まさにそのとおりなんですね！

ラストシーンのチーコはこのうえもなく綺麗で、ひとつの恋が終わって少し大人になったのかな・・・
そんなことを思いました。

回想のなかで出てくる木の下での出会いのシーンはあきらかに撮り直しています。だってチーコの髪型が違います。チーコの服は同じですが、着こなし方が違うし、サリーの服も違ってた。　ところで、この取り直したシーンでは、村上の回想の方で出てくる、振り向いて村上だと気づいたときのチーコのニコッとした顔（もちろん第一話にはない！）がメチャクチャ可愛かった！！！！抱きしめてあげたいくらいに！（鬼八郎暴走中）　もう一度必見だ！　というわけで何度もリピート！　村上さんの思い出の中でチッチも美化されてたりして(^^；

まあ、とにかく最終回のチーコは全編とても美しく（可愛いじゃなく、綺麗）、キャプチャに困ります。「18歳シリーズ」には無い、もうひとつの「最強の友紀さん」でした。

二階の窓から線香花火するチーコ。夏の終わり、はかない命・・・って、気分に浸ってる場合じゃなくて、やっぱり花火は外でやらないと危険だと思う(^^；

最初に「好きだ」と言ったのはファイヤーストームの夜ではなく、会津だったと思うが(^^；　そんなことより、二人は目と目で通じ合っていたのです。

☆挿入歌「誰もいない海」
歌い出し部分でのチーコのドアップに、テレビの前で悶絶しまくり。(^^)　このときのチーコの気持ちを代弁するかのような切ない歌詞と友紀さんのきれいな声がとても印象的でした。「私は忘れない」という歌詩はラストの詩の一節とも合っていてなんともいえません。

「わた〜しは忘れない〜　海に約束したから・・♪」

この物語が制作されてから、もう33年（現在2005年12月）、今こうしてこの素敵なドラマを見ることができて本当に良かったと思う。可愛らしいチッチを演じてくれた岡崎友紀さん、脚本の方、演出の方、他スタッフの方々、沖雅也さんをはじめ出演者の方々に今からでも「感動をありがとう」とお礼をしたい気持ちでいっぱいです。

☆管理人のあとがき

今頃チッチは何してるんだろうなぁ・・・　あれからずっと、チッチのことを今でも考えてしまうのです。

純粋すぎて、一生懸命だったチッチ。

チッチは四国へ行って幸せになれたのだろうか。子供の頃はどんな子だったのだろうか。四国で友達はできたのだろうか。四国で一生暮らしていくのだろうか。卒業したら、もう一度サリーのいる東京へは行かないのだろうか。誰か素敵な男性と結婚して今は幸せに暮らしてるのだろうか。やっぱり、一生懸命アタックしたのかな。子供は何人いるのだろうか。

考えていると胸が締め付けられてきます・・・

それでも僕はチッチに会いたくて、「小さな恋のものがたり」の映像を繰り返し、繰り返し見ています。