和菓子屋「菊久月」一家と、ひょんなことから関わりをもつことになった野口家と中川家、東京近郊の３家族の暮らしを通して、思う人には思われず、縁あるべき人に縁がなく、ひよんなことから恋がうまれていく、そんなさわやかなドラマ。物語はふたつのカップルを中心に進むのだが、ホームドラマらしく、魅力的なキャラクターが織り成す物語がとても楽しい。 （30分ドラマ）

（放送：スカイパーフェクTV 362ch「ホームドラマチャンネル」　2005年10月〜ON AIR）

東京にある老舗の和菓子屋「菊久月」は頑固おやじの福松が一代で築いたお店で、いまだ手作り手焼きにこだわる伝統の菓子つくり。今は、職人昭三（管理人の当て字）と看板娘の長女・和枝のおかげもあって店はどうにかやっている状態。そんな父親の古いやり方に反抗した長男・修一は近くでラーメン屋を開いているがけっこう繁盛していた。美人の奥さんで気が若いと評判で頑固親父もべた惚れで頭が上がらない。そして末っ子の次女桃子は大学浪人生。

文房具屋を営むお隣には女主人と娘二人。長女トシ子は修一とはお隣同士の幼馴染。次女の和枝とは同級生。

ある日、和枝を見初めたがお見合いを断られた鈴木の友人・野口直也（管理人の当て字）が、和枝を訪ねてきたところから物語りは始まる。

お隣のトシ子と修一は、とても仲がよかったがお互いに結婚するつもりがないようで、それぞれの親はいい年をした二人を心配してやきもきする。しかし、一方、10年間一途に働いてきた職人昭三はトシ子のことが好きだった・・・。

野口直也には大学生の弟勉がいて、修一のラーメン屋でアルバイトをすることになり、気の合う桃子と友達になる。しかしさっぱりとして現代っ子の桃子のペースに巻き込まれっぱなし。そして桃子は、大学進学をやめ、勉を共同経営者として洋菓子屋をはじめることを決意。洋菓子学校へ行くことにするがそれもひと騒動。

直也は和枝とは合わず、会うと喧嘩ばかりだがお互いに惹かれるところがあり、お付き合いを始めるが、医者の卵の直也は忙しく、いつも約束をすっぽかしてしまったり、二枚目のため女性にもてるため、気の強い和枝とは喧嘩ばかりでまわりは心配でたまらない。

一方、昭三はトシ子に正式に結婚を申し込むが断られてしまう。美人で気立ての良いトシ子には縁談がいくつも舞い込むが、本人にその気はなかった。トシ子は修一のことが好きだったのだが、修一は結婚する気がないため、いよいよよそへ嫁ぐ決意する。しかし、トシ子を失うと知った修一はトシ子との結婚を決意し、ラーメン屋を閉めて「菊久月」を継ぐ決心をするのだった・・・。

「木下恵介アワー」自体、そういえばそういう番組あった気がする・・・ってだけの知識しかない管理人鬼八郎ですので、ご勘弁を。　日本映画の黄金期の名監督という木下恵介監督制作によるテレビドラマシリーズのうちの一本。TBS「日産火曜劇場」ということらしい。作品によっては木下監督自身が脚本を書いたり、メガホンもとってるようです。とにかく友紀さんの代表作「おくさまは18歳」以前のドラマということで、どうしても彼女は「おくさま」からのイメージしかない私にとっても要注目のドラマでした。すでに「ゲバゲバ」をはじめとするバラエティにも出演し、それまでの女優よりもアイドルとして売れてきた時代のようです。

ホームドラマということで、後のシリーズのようなハジけるところは当然ないのだが、演技も含め雰囲気はさすがに「おくさま」初期といったところでしょうか。演技のほうはまだまだこれからというところかもしれませんが、すでにアイドルだったというのもわかる可愛らしさで、お顔はツルンとしていますね(^^)　もう、明るいキャラ（といってもドラマ内のキャラとはちょっと違うが）に愛らしいお顔と意外なナイスバディということで、ブレイクするアイドルの三大要素（？）はすでに兼ね備えているわけですから、この後のブレイクも納得。　もう管理人鬼八郎もハマリまくりです！！　下の登場人物欄のお顔も笑顔ではないですが、厳選しておきました(^o^)

放送中17歳になったという若さで、ちょっと幼い浪人生みたいだったが(^^；　あおい輝彦さんの相手役でもそれほど違和感はなかったです。レギュラーですが主役ではないので出番はそれほど多くはなく、「おくさまは18歳」と収録がかぶる時期には出演がほとんどなくなってしまったのは非常に残念。それから、あおい輝彦さんとの屋外のデートのシーンなどは、当時の街並み、ファッション等が楽しめました。家業の手伝いはイヤイヤするも、母が居なくてウロウロする父親を子ども扱いするシーンも楽しい！　ボーイフレンドの一人として軽い気持ちで付き合っていた勉のことをやがて本当に好きになっていた・・・。という感じです！　あ、でも義理の兄弟になっちゃたんだけどそんな重いのじゃないから問題なしですね。そして、ギターを持って歌ったシーン「或る日突然」（トワエモワの69年のデビューヒット曲）、そして自身の「しあわせの涙」（当時ヒット中のデビュー曲）を歌ったシーンは貴重すぎて涙の永久保存版。そういえばドラマのなかで、和枝と直也がデートしていた喫茶店（フォーク喫茶？？）ではトワエモワが生で歌っていましたね！

ドラマの内容にふれず友紀さん絶賛で終わってしまいそうですが(^^；　とにかく家族というもの、そして家族同士の付き合いが希薄になってゆく現代において（大げさか）、日本のホームドラマの良さを再認識させてくれるドラマでした。主役の新藤さんの頑固親父が「昭和」していてとても良かった。奥さん役の山岡久乃さんが、艶っぽい若いおかみさんを好演。ドラマ「ありがとう」での苦労人みたいなイメージしかなかった私にとっても新鮮でした。桃子（友紀さん）の買ったロングのカツラをかぶってウィンクしたりとね(^^；

物語は正三＝トシコ＝修一の3人の結婚にまつわる微妙な関係と、和枝＆直也の恋愛が中心。特に和枝役の尾崎さんがお綺麗で、すらりとして絶対洋服を着るとモデルさんのようだと思うけど、着物もよく似あうんです。とくに会ったら喧嘩ばかりの二人だったのですが、プリプリ怒る和枝さんと、デレデレになってしまう和枝さんが可愛らしくてドラマの主役といっていい活躍でした。

	谷口福松　（進藤英太郎70） 和菓子屋「菊久月」を一代で築いた職人気質の頑固主人。昔からの和菓子作り一辺倒で、休日も新作作りに没頭する。新しいものを取り入れようとする息子と店の経営のことで対立。しかし後に、ビルに建てなおし、2階3階を兄弟に好きにやらせることにした。奥さんにベタ惚れで、いないと落ち着かず機嫌が悪い。			谷口常子　（山岡久乃43） 「菊久月」のおかみさん。46歳。おっとりした気の若い奥さん。　和枝よりも先に直也を気に入って、二人のことを心配ばかりしている。福松と喧嘩をすれば長男の店を手伝ったり。いつでも子供の味方。娘二人は母親に似て美人と言われる。
	谷口修一　（林隆三26） 「菊久月」の長男で一時期は父の元で和菓子の修行をしたが、古いやり方を変えない父と対立。ラーメン屋を開業した。 お隣のトシ子のことが好きだが、それは幼馴染の気の合う友達としてか、女性としてか、今一歩踏み込めずにいた。彼女の縁談がまとまると、彼女を失いたくないという自分の気持ちを知りプロポーズ。と同時に家に戻る決心をした。			谷口和枝　（尾崎奈々21） 「菊久月」の長女で、高校卒業後に看板娘として働く。21歳。商売がら和服が多く、普段も旅行にも着物を愛用。しかしもって生まれたスタイルのよさでミニスカートもかなり似合う。 美人で、よくできた娘だが、とても気が強くて手が早い。直也を蹴ったり叩いたり数知れず。
	谷口桃子　（岡崎友紀16） 「菊久月」の末っ子。18歳。浪人生。父から「男のようだ」と言われるくらいさっぱりとした性格で、母からも「何を考えてるかわからない」といわれる当時の現代っ子。ケーキ屋をやるという夢をもち、予備校を辞めてお菓子作りの学校へ通うあたりは、さすがに「菊久月」の娘。最初はボーイフレンドのうちの一人としてしかみてなかった勉のことを次第に好きになっていた。趣味はギター。			井沢正三　（小坂一也34） 和菓子屋「菊久月」の職人。30歳。田舎から出てきて、もう10年働いている。コツコツと働くまじめな男だが、どこかウジウジと暗いところもある。隣に住むトシ子にずっと片思いをしていたが、ある日とうとう結婚を申し込むが、やっぱり断られてしまい落ち込む。修一とは仲が良く、最後は修一とトシ子のことを認めてあげた。田舎から押しかけてきた見合い相手（岸ユキ）とまとまりそうだ。
	中川トシ子　（磯村みどり30） 「菊久月」のとなりの文房具屋の長女で、修一の幼馴染。26歳。人柄もよく、よくできた女性のため縁談話も多い。しかし、ずっと修一のことが好きだったため結婚せず、そのことは口にはださず、ずっと待っていたと思われる。しかしいったんは修一のことをあきらめて、嫁に行くことを決意するが、突然の修一のプロポーズで婚約を破棄し、幸せをつかんだ。			中川アヤコ　（東山明美23） 文房具屋の次女で和枝と同級生。21歳。おおっぴらな性格で修一が大好きと公言するが、子供扱いで相手にされなかった。OLをしていたが、姉の結婚を契機に退職、家の手伝いをすることにした。「この町内は美人が多い」と言っていたが、確かにそのとおりだった。ちなみに姉妹二人とも父親に似たそうだ（おキクさん談）
	野口直也　（大出俊29） 医者。好きだった母を無くした思いが強のか、やさしく美人の常子を気に入ってしまうマザコン系？　気の強い和枝とケンカを繰り返すうちにどんどんと惹かれていく。仕事がら時間が不規則になりがちで和枝をおこらせてばかり。しかも女性に対して意外と優柔不断なところもあるが、最後はバシッと決めた。好きになった人には一日何度も電話をし、何度も会いに行くマメな人			野口勉　（あおい輝彦22） 直也の弟で大学生。直也の勧めで修一のラーメン屋でアルバイトを始める。そこで年の近い桃子と仲良くなりデートを重ねるが、まだ、お互いに「恋人」という感覚はなさそう。ケーキ屋を始めたいという、桃子のバイタリティに賛同し、共同経営を約束するが・・・ 桃子のペースにまきこまれっぱなし、「カナヅチ」で泳ぎも桃子に教わった。
	おキクさん　（市川寿美礼42） 野口家のお手伝いさん。独身。いまだに嫁にいくことを夢見ている。おしゃべり好きな愉快なおばさんで、文房具屋の母親とも友達。彼女曰く「トシ子の親は私だったかもしれない」そうだ。10年前に直也たちの母が死んでからは、勉の母親代わりのように面倒を見てきた。また、親切な直也の父を敬愛している。			リョウコ　（范文雀22） 直也のお見合い相手。医者の娘でお嬢様育ちと思われ、気が強くかなり自分中心な行動をするタイプ。最初の顔合わせで、一目で直也のことを気に入り、彼がハッキリとした態度をとらないために、病院や家へと押しかけていく。しかし、直也の和枝への思いの強さを知ると潔く身を引いた。
その他、文房具屋の女主人に山田桂子、修一のラーメン屋を首になるも修一のことが好きで縁談の邪魔をする蕎麦屋のトメ子役に丘ゆりこさんが出演しています。 （名前横の数字は第一回放送時の年齢） 敬称略 出演者の役名、当時の年齢の情報は　まさ兄さん　からいただきました。（資料：昭和４５年５月２２日号のＴＶガイド解説より） 谷口福松は、私の調べでは谷口一徹でしたが、記憶が定かではありませんので、福松に変更いたしました。（2007年2月6日追記）